Category
交流

たからさがし

2017.03.17

「ほいじゃあ 入り口のとこまで」

 そう言って日晩山の登山口まで連れて行ってくれたのは、御年七十一歳、公民館館長の大庭 完さん。

 「ちょっと 入ってみるか?」

 「もうちょっと行ったところに 竜の通った跡 いうとこがあってね…行ってみるかね!」

 どんどん山の中を進んでいく。

 

 山頂からの景色がうりの日晩山、しかし館長が目をつけるのはもっと他だったりする。

 「ほらこれが、またたびじゃ。また旅ができるほど元気になるゆうてねえ」

「これは山菜のひとつじゃけえ。ほら、食べてみぃ」

 道なきところをガシガシかき分けては 何かないか、何かないかと探している。

 

 公民館長をはじめて十年が経った、

「館長になって初めの頃、真砂にはなんもにゃあと言われた。

でもほら、真砂にはなんでもあったじゃろ?」。